日本将棋の起源に関する系統地理学的研究
2019年12月08日
将棋の起源は古代インドのチャトランガというゲームであるというのが最有力の説とされている。チャトランガは西洋のチェス、中国のシャンチー(象棋)、タイのマークルック等のゲームに派生したことが知られている。
日本への伝来ルートは①インド~中国~朝鮮~日本と、②インド~東南アジア~日本のどちらかと考えられている。中国ルート説の根拠としては、シャンチーの駒が漢字で表記されている点や初期配置が類似している点が挙げられる。一方で、東南アジアルート説の根拠としては、駒の動かし方が類似している点と成りが敵陣の3段目である点が挙げられる。
しかし、これらの説はどれも決め手に欠けているものではある。そこで、私は中国ルートと東南アジアルートの両方からの伝来があり、それらのゲームの複合型として日本独自の将棋に派生したという仮説を立てた。これは日本将棋の独自のルールを説明するには尤もらしい仮説である反面、いくつかの疑問が生じる。
①将棋と同じく中国ルートから伝来したと考えられる囲碁についてはルールが保存されているにも関わらず、なぜ将棋だけがそのルールを大きく改変することになったのか?
②日本将棋がシャンチーとマークルックの複合型だとして、いつ、どこで複合されるに至ったのか?
これらの疑問に関して、系統地理学的手法を用いることにより、将棋の原型となったゲームの分布パターンを推定し、日本将棋の起源に関して考察を行った。



































